蕎麦とお酒を揃えるバー。〆に蕎麦を食べるのもよし、蕎麦をあてにお酒を嗜むもよし。そんなコンセプトが面白い、sobabar(蕎麦バー)水谷が岡山市北区田町にできたことを知り、友人を誘って訪れました。
繁華街から少しはずれた知る人ぞ知るお店という雰囲気
sobabar水谷のある田町というエリアはいわゆる夜のお店が多い繁華街。なのですが、田町の中でも北のはずれの方にあり、夜は少し薄暗い通り。知ってる人でないとあまり気付かないかもしれません。
路面電車の田町電停から徒歩数分、岡山駅から1㎞ちょっとの距離なので、20分ぐらいぶらぶらと町を散策しながら歩いてみても。
もう少し南へ行くと、タイ料理バンコクがあり、そちらの方が賑やかなエリアです。
店内はバーらしく、L字型のカウンター席。目の前に蕎麦にもお酒にも合いそうなおばんざいが並び、向こうの棚にはお酒の瓶がたくさん。
てっきりカウンター席のみだと思っていたら、2度めに来たときに奥にテーブル席が一つあることを知りました。グループの場合は予約が安心です。
sobabar水谷がオープンしたのは2018年7月。幸町にある岡山市で人気のそば処水谷の姉妹店なのだそう。
蕎麦はもちろん、小料理屋を営んでいたという女性店長さんが作るおばんざいは、どれを食べても間違いなくおいしい。お酒が飲めなくても、料理と空間をきっと楽しめるはず。
上質なお酒のおいしい飲み方を知る
とりあえずの1杯めはハイボール。
ウイスキーやジンだけでも数種類置いてあるのが、さすがバーという感じ。メニューに書いてないものもあるので、好みを伝えて何がいいか相談してみるといいですよ。
最初に行ったときは、蕎麦に合うお酒というざっくりしたオーダーに、北海道の地酒を出してもらったりも。
相手はお酒のプロだからこそ、こんな飲み方があるんだとか、このお酒ってこんなにおいしんだとか新たな発見ができるのが、バーへ行く醍醐味ですね。
sobabar水谷では、日本のクラフトジンが飲めます。
ここで飲んだのをきっかけに、ジンのソーダ割にはまりました。すだちを少し絞ってさっぱりと。京都のクラフトジン、季の美。
ジンといえばベルモットで割ったマティーニや、トニックウォーターで割ったジントニックが有名ですね。ソーダ割だとジンそのものの香りがより引き立つので、こんなに豊かな香りがするものなのか、と驚きました。
ジンってハーブやスパイス、柑橘類の皮を使って作られるのだそうで。スパイスやハーブは大好きだし、ジントニックの甘さがどうも苦手だったので、ソーダ割を飲んでみてジンの印象ががらっと変わりました。
つい先日、3度めの訪問の際は広島の桜尾というジンをソーダ割で。友人のはノンアルコールカクテル。
ノンアルコールカクテルは種類が少ないということでしたが、リクエストすると作ってもらえました。
桜尾は広島県産の柑橘を使って作られたジン。グラスに口を近づけてみると、さわやかでアロマティックな香りがふわっと漂います。
それからもう一つ知ったのは、ウィスキーのお湯割りにクローブを数粒浮かべること。冬は特に体が温まるし、スパイスが少し入るだけで異国の香りを感じられます。
ホットワインやチャイにも使われるクローブ。常備しておいて家でもやってみようかと。
器も美しい!岡山の食材を使ったおばんざい
カウンターの前に、ずらりと並ぶおばんざい。彩り鮮やかで、栄養バランスもよさそう。季節の野菜や、岡山近隣の食材も使われています。
初めて友人と来たときに迷っていたら、盛り合わせにしてもらえました。2019年9月訪問時は3人分。
2019年10月に訪れたときのもの。こちらは2人分。岡山名物黄ニラも。
そしてそして、女性店長さんのセンスなのかな?器がどれも美しいです。赤いコースターに金箔が入った箸置きが、シンプルながら華やかさがあって上品な組み合わせ。
お刺身や揚げ物も。
お玉や調理器具と一緒に上から吊るされているのは、吉備中央町にある吉田牧場で作られたカチョカバロというチーズ。友人がすかさず見つけてくれました。
表面をこんがり焼いて、少しずつ味わいます。あっさりしていてどんな飲み物にも合いそう。
茹で落花生はサービスでいただいたもの。岡山県産だそうです。
落花生は塩茹でにして食べるのもおいしいんですよね。中国では定番の前菜。
こちらは2021年2月訪問時のおばんざい盛り合わせ。
コロナ禍に配慮されてだと思うのですが、2人分を取りやすいようきれいに分けて盛り付けされていました。
ホワイトソースのグラタンは取り皿にのせて個別に。このお皿の色合いも素敵。
最後はもちろん蕎麦で〆る
〆はやっぱり蕎麦ですね。人気蕎麦店が提供するだけあって、どれを食べても外れなし。
温かいとりなんばん。
蕎麦そのもののおいしさをしっかり味わえる、もりそば。
おろしそばとにしんそば。
個人的には冷たいお蕎麦の方が好み。
初めて蕎麦のおいしさに気付いたのが、京都の尾張屋の蕎麦だったのですが、そのときと同じように、ここに来たらまた食べよう!って思える丁寧に作られたお蕎麦でした。
sobabar水谷で過ごす上質な時間
3度めの訪問は友人と二人で。同居人以外との外食は久しぶりで、落ち着いた雰囲気の中、ゆっくりいろんな話をして楽しい夜でした。
コロナ禍以降、すっかり行く機会が減ってしまった大都会岡山を満喫。
お酒も料理も空間も、「上質」という言葉がぴったりなsobabar水谷。場所柄、そしてバーという形態から少しお値段は張りますが、程よく気配りのある接客が心地よく、既に3回通っているぐらい、期待以上のよいお店でした。
ぜひ多くの人に訪れてもらい、これからも長く続いてほしいです。