90年代のドラマの話をしていて、ふと思い出した『白線流し』のこと。タイトルを聞いて当時を懐かしく思い返す方は、きっと同じぐらいの歳ではないかと。
私は正に主人公の園子たちと同世代。本編放送のときは一つ下の学年だったんですが、スペシャルの途中から気付けば同い年になっていました。
これほど深く共感し思い入れのあるドラマは、この作品をおいて他にはないだろうと思います。
そして見つけたのが朝日新聞デジタルの「私の一枚」という記事。
該当ページは既に削除されてしまっているのですが、『今思い出しても涙が出る「白線流し」』というタイトルで酒井美紀さんの言葉が紹介されていました。
当時、私は静岡に住んでいて、ロケ地の松本には身延線という富士山の山あいを抜けていく電車で通っていました。
酒井さんをはじめ、出演していた俳優さんたちはまだあまり名前も知られていなかった頃。それでも静岡から電車で通っていたという事実に驚きました。
身延線なんて東海地方に縁のある自分でもあまり聞いたことのない路線ですし。
そんなエピソードからも、当時このドラマがいかに等身大の高校生を映し出していたかを物語っているように思います。
本編が終わったあとも、続編のスペシャルドラマが2年毎に放送され、10年後の2005年まで続きました。
その間の彼女たちの成長が描かれ、大学受験、就職活動、社会に出てからと、同じように歩んできた自分を重ね合わせて見ていたものです。
本当に丁寧に作られた作品で、たくさんのことを感じ考えさせられました。
中でも好きだったのが、2001年に放送された『旅立ちの詩』。
この作品で酒井美紀さん演じる園子とTOKIOの長瀬さん演じる渉が別れることになるのですが、当時自分も付き合っていた人と別れたばかりで、就職活動もなかなかうまくいかず悩みながらもがいていた時期でした。
ようやく進むべき道が見え少しずつ前向きになり始めていたときに、ドラマの中で園子が渉とのことを決断し、目の前の仕事にもまっすぐ向き合っていこうとする姿を見て、自分の状況と重なり、ぼろぼろと涙がこぼれてしまったことを覚えています。
(だからこそ、最後の『夢見る頃を過ぎても』の結末には納得がいかない……。)
そうしてつまづきながらもなんとか決まった就職先はもう辞めてしまったのだけど、そこでの縁が今でも続いていて、今一緒に暮らしているパートナーと出会ったのもその会社に入ったことがきっかけでした。
ああやって悩んだ日々がなければ今の自分はなかったのだろうなと、しみじみと感じています。
多くの人に協力してもらい、時間のない中で必死に勉強し続けたあの時間は、もし「人生の壁」がきても「自分は絶対に乗り越えられるはず」という自信が得られた貴重な体験になりました。
酒井さんのこの言葉も胸に沁みます。
記事に書かれているのとはまた別の『歌姫』という舞台で、酒井美紀さんが福岡にいらしていて、それが先日書いた博多旅行と同じ日だったことにも驚きました。
ほんの小さな偶然なんですけど、このタイミングで『白線流し』のことを思い出したのも何か意味があったのかもしれません。
この作品は音楽もすごくよくて、スピッツの『空も飛べるはず』はもちろんのこと、岩代太郎さんの音楽がまた切ない。
その当時と同じようには感じられないだろうけど、今でもときどき振り返って見てみたくなるドラマです。

白線流し ― オリジナル・サウンドトラック ?空も飛べるはず
- アーティスト: TVサントラ,スピッツ,草野正宗,岩代太郎,土方隆行
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