瀬戸内国際芸術祭で訪れた瀬戸内海の島々。今回は高見島編です!
本島と同じく秋会期のみの開催。港でもらえる地図はパスポートケースにちょうど入るサイズでした。小さな心遣いが嬉しいですね。
本島から高速船に乗って25分。高見島は坂道や階段が多く、移動手段は徒歩になります。作品はほぼ浦地区に集中していて、十分に歩いて行ける距離。だいたい2時間ぐらいで見ることができました。
高見島の作品
港に着いてすぐ目に留まった看板。島のキャラクター、かぼその「かぼっちゃん」だそうです。「かぼそ」は島の言葉で「かわうそ」のこと。昔は海に生息していたとか。
お店はほとんどないと聞いていましたが、港近くにいくつか食事のできるところがありました。ただ、おそらく芸術祭会期中のみだと思われます。イチフジの生ビールに惹かれつつも、夕方のフェリーに間に合うよう回らないといけないため、後ろ髪引かれながらの散策開始です(;^ω^)
港から右手にある浦地区の方へ歩き、看板に従って坂道をどんどん上っていきます。今回も遠いところへ先に向かい、港に戻りながら鑑賞していくことにしました。
長い坂道を上り、集落の中を通る細い路地を進んで最初に辿り着いた作品。古民家の壁や天井に無数の小さな穴が等間隔で空けられています。
受付の方が、屋根にアクリルの杭のようなものが突き刺さっていると教えてくれました。ここから入る自然光が室内をほのかに照らし、天候や時間によって空間が変化していきます。
うつりかわりの家 中島伽耶子
続いて大聖寺へ向かう坂道を上ります。ここまでがちょっとしんどいですが、あとは坂道を下るだけになります。
高見島ではかつて除虫菊の栽培が盛んに行われていました。会期中ずっと燃え続けるという蚊取り線香を使ったアートが面白かったです。
これだけ煙を浴びたのに、この後蚊の大群に襲われたのが解せなかったです(苦笑)
除虫菊の家 内田晴之
岡山の吉備津神社の設計図が展示されていました。なぜここにあるのかというと、家の持ち主のおじいさんが塩飽大工で、神社の修繕にかかわっていたようです。高い造船技術を生かし各地で活躍した、塩飽大工の歴史が伺えます。
海のテラスの2階にある作品。見られる人数が限られていて、少し待つことになりました。
白いのは塩だそうで、湿度の管理に気を遣っているとのこと。
たゆたう庭 山本基
下の部屋にも展示や休憩スペースがあり、ゆっくりしながら待つことができました。
レトロなテーブルやテレビ。
海を一望できるレストランで、地元の食材を使ったイタリアンが味わえます。
海のテラス 野村正人
坂道を下り、海沿いの方へ。
料理や陶器の制作、入浴もできるかまどが置いてあります。展示されているのは作家さんたちが島に滞在して開発したお土産。
作品越しに海が見えるのがいいですね。
かまどを使ったお土産作りや、高見島の食材にまつわるワークショップも行われます。
よなべのみやげ APP ARTS STUDIO
旧高見小・中学校に展示された作品。島の歴史や塩飽水夫の生き様を調査し、それにもとづいた人物画が描かれています。
覚悟のイロハ 後藤靖香
島で不要になった金属の部材が使われています。引退が決まった定期船フェリーの「新なぎさ号」をイメージして組み上げられました。
錆色の旅 若林亮
絵付けされた陶器の蛸壺。海までもがギャラリーになってしまうのは島ならではですね。
漁師と職人 田辺桂
最初に見た「うつりかわりの家」と同じ作家さん。突き刺さったアクリル板から光が差し込んでいます。先程と手法は似ていても込められた思いは違っていて、鋭く入る光は時代の流れや変化に翻弄される島の姿を表現しています。
時のふる家 中島伽耶子
除虫菊にしても陶器の蛸壺にしても、かつて使われ栄えていたものが今では衰退してしまったという文脈を度々感じました。他の島と同様に過疎化は否めないし、どんどん便利になっていく世の中で、交通が不便で店も少ない島から人が離れていくのは仕方ないことなのでしょう。
島に人が増えることがいいことなのかどうかもわかりません。ただ言えるのは、瀬戸内のこの場所にこんな島があるんだ、と島のことを知るきっかけとなることに、芸術祭開催の意義があるように思います。そこからまた島のいいところを生かすような何かが生まれていく可能性だってあるのだから。
古民家の窓ガラス。島巡りをしていると、昔ながらの不便だけどいいものに気付く機会が多いです。残せるものは残していけるといいですね。
寅さん映画の舞台にもなった坂道と石垣のある島の風景
急な坂道と石垣のある家が特徴的な浦地区。
急傾斜に石垣と民家が立ち並ぶ浦集落。
今の石垣は、江戸前期に旧浦集落が大火事になり、当時の人名(にんみょう)が中心になって石垣を築き、計画的に造成し家を建てた時のものです。人名とは・・・大名(1万石以上)、小名(1万石以下)に次いで、第三の領主。塩飽(しわく)船方650人の名主(みょうしゅ)を略した名称です。
懐かしい日本を今も残す島(高見島)|さぬき 瀬戸しまネッ島より
高見島は映画『男はつらいよ』のロケ地になっていて、第46作『寅次郎の縁談』では、この階段のところで寅さんと松坂慶子演じる葉子が出会います。
階段を上った先にある大聖寺も映画に使われました。
港から浦地区へと向かう途中にあった生栄丸というお店。刺身定食やハモなど海鮮が中心でどれもおいしそうです。2013年の情報では会期中のみ期間限定で営業。
手作り感たっぷりの花壇。
本島ほどは多くなかったですが港の近くで猫を見かけました。
喫茶・軽食あい
帰りのフェリーに乗る前に立ち寄ったお店。島の喫茶はおばあちゃんちみたいで落ち着きます。ここもネットに情報が見当たらなくて、期間限定と思った方がよさそうです。
お家のお庭そのままでアットホームな雰囲気のテラス席。お店の中はカレーのスパイスのいい匂いが漂っていました。
カントリーマームのサービス付き。
高見島へのアクセス
高見島へは多度津港(香川)からフェリーが出ています。
高見島へのアクセス | さざえ隊
JR多度津駅から多度津港までは徒歩約20分。芸術祭の会期中はシャトルバスを利用できます。時刻表や駐車場はこちらからどうぞ。
瀬戸内国際芸術祭2016 Access map
秋会期のみ本島と高見島をつなぐ高速船が出ています。片道1,000円はちょっと高いですが、この航路を使うことで本島と高見島の両方を一日で見ることができました。
西の島への航路と時刻表 | 瀬戸内国際芸術祭 2016(5番の航路)
参考までに、今回日帰りで2島を巡った際のスケジュールを載せておきますね。
児島9:30発 本島10:00着
本島13:20発 高見島13:45着
高見島16:10発 本島16:35着
本島16:45発 児島17:15着
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