今朝はどんよりとした曇り空。こんな日は雨に見舞われた旅の記録を。この夏から月に1回「遠出の日」を決めて、中国四国地方を中心に旅しています。
9月中旬、台風の襲来と重なってしまった広島への一泊旅行を、撮りためた写真とともに振り返っていきますね。
雨を避けて尾道商店街のアーケードを歩く
この日の宿は三原。広島県の中では岡山寄り、備後地方のいちばん西の方に位置します。高速を使えば1時間半程の道のり。台風接近中のため、とりあえず安全に三原まで辿り着くことを優先。
雨風強くなる中、アーケードで雨を凌げそうな尾道へ寄ってみることにしました。
雨に濡れる小さな路地も風情がありますが、傘を差さなくても歩けるアーケードはこういうときとてもありがたい。
見過ごしていたお店との出会い
どこへ行っても駅前商店街のさびれ具合に悲しくなりますが、ここ尾道商店街ではぽつりぽつりと新しくできたお店を見かけました。いつもはすぐに千光寺のある山側の坂道の方へ行ってしまうからか、改めてのんびり歩くことでこんなお店あったかな?と、見落としていた面白そうなお店を見つけるきっかけにも。
豚饅の店「長江」
小さな店構えですが、中のカウンター席で食べることもテイクアウトすることも可。人気の尾道ラーメン店「朱華園」からも近いです。小ぶりの塩豚まんは1個80円とお手頃で、食べ歩きにぴったり。
どこでもカフェ「ニャンドー」
手作り焼きドーナツのお店。尾道らしい猫のロゴが目を引きます。
まかない食堂「むらちゃん」
昭和な雰囲気が残るお店。旅行で来るとこういういい意味で「普通の」お食事処は素通りしがち。よく見ると看板には地魚を扱っていると書かれているし、瀬戸内のお魚定食とか食べてみたくなりますね。
四一(よんいち)餃子
ツイッターでフォローしている餃子専門店。以前は別の場所にあったのが、去年10月に商店街の中に移転してきたそうです。
餃子は皮から作ってしまうぐらいに大好きなので、専門店とあらば一度は味わってみたい。
2018年10月、四一餃子に訪問しました!
あなごのねどこ
ゲストハウス「あなごのねどこ」と併設の「あくびカフェー」。尾道の空き家再生に一役買っていて、最近はメディアでよく取り上げられていますね。
庭の奥にある本と音楽のお店「紙片」にも一度行ってみたい。
Cafe しましま
こだわりの紅茶がいただけるお店。8月にオープンしたばかりで、お店のロゴはしまなみ海道にかかる5つの橋をモチーフにしているそうです。ストライプ模様のしましまと、瀬戸内海の島々と、お店の名前には二つの意味があるのですね。
尾道の紅茶と自転車のカフェとうたわれていることから、入口にはサイクルラックが2つ設置されています。あとでホームページを見て知ったのですが、しましまアフタヌーンティーセットが魅力的!
Beer Bar a clue
おしゃれな酒屋さん?かと一瞬思いましたが、ビールバーだそうで、お店の名前は「クルー」と読みます。国内の地ビールや世界各国のビールが豊富に取り揃えられています。
夜は行くところがないかと思い尾道には昼間日帰りで来ることが多かったのですが、こういうお店があるなら泊まりで来て立ち寄るのもいいですね。
ようやく来れた隠れ家みたいな「ハライソ珈琲」
商店街に面しているのにちっとも気付かなかったカフェ。ブログやツイッターで交流させてもらっているre:structureさんの記事を読んで来てみたいと思っていたお店でした。
きっとこの辺り、とgoogleマップを頼りに歩いていると確かにありました。
入口が通りに対してちょっと斜めになっているからかな、視界に入りづらかったのは。
この日は昼間の訪問でしたが、この薄暗い感じといい夜が似合うお店です。通常営業時間は15時~23時まで。
初めは先客もほとんどいなかったのに、後から次々とお客さんが。こんな台風の日なのに(むしろこんな天気だからか)、あっという間に席が埋まってしまいやはり知る人ぞ知るお店なのか。
お水の入ったキラキラとした切子のグラスも、ほっと温まるチャイにもお店の雰囲気にもすっかり魅せられてしまいましたが、 ここで手に取った『真夜中』という雑誌が何より印象的でした。作家やアーティストが寄せた読み切り小説、コラムが中心のつくりになっていて、リトルモアという出版社が刊行しています。
その中でたまたま目にした小説家、保坂和志さんの言葉がもうわかりすぎるぐらいに、これがずっと言いたかったんだよと大きく頷きたくなるような一文でした。
「わかる」とは書き手が何を言おうとしたのかを理解することでなく、書き手と同じ思考をすることだ。
同じ日本語を話しているのに、どうしてこの人とはうまく意思疎通できないんだろうと思うのは、おそらくこういうことなんだ。私の拙い言葉ではうまく伝えられないけれど、それでもこれを読んでわかるよなんとなく、とでも言ってくれる人はきっと自分と同じような思考をしている相性のいい人たちなのかもしれない。
そして感じたのは、プロの書き手の言葉というのはこうして書いているブログとは何か違う。力がある。ネットに溢れた情報を次々と興味のまま読んでいくのも楽しいけれど、紙に印刷された、作家たちが年月をかけて紡ぐ言葉には芸術性と哲学があり、それゆえの重みがあるのです。
台風の中行き当たりばったりで歩いた尾道の商店街は、また訪れたくなる要素がたくさん詰まった場所でした。旅の中の「偶然の出会い」は人にしろ、物にしろ何かしら心に残るものがありますね。
ハライソ珈琲さんは友人や家族との旅よりも、一人静かに過ごす方がより魅力的な空間になりそうです。